【症例報告】 新免疫療法による がん免疫療法
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悪性胸膜中皮腫 当院治療6年11か月間

新免疫療法単独

62歳の男性で、平成14年6月に総合病院で悪性胸膜中皮腫を疑われ、10月に、癌専門総合病院で開胸手術を受け、生検のうえで悪性胸膜中皮腫の確定診断をされました。


尚、患者様は26歳の時から家の解体作業に従事しており、平成17年11月には、大学病院の悪性胸膜中皮腫センターでアスベストに起因するものとの認定がなされています。

 

治療法が難しいとのことで、確定診断直後の平成14年10月に来院し、新免疫療法(NITC)を単独で開始しました。

 

当初は散歩や日常生活が充分にできず、食欲の低下が認められました。

 

初診時の血液検査では、免疫力は、Th1サイトカインのIFNγとIL-12はまだ活性化されておらず、NK細胞比率と活性化NK細胞比率に良好な値が認められるのみでした。

 

腫瘍マーカーは、BFPが82 ng/ml(基準値75ng/ml以下)と、ⅠCTPが5.6 ng/ml(基準値4.5 ng/ml未満)と高値を示し、新生血管増生因子のVEGFが1290 pg/mlと異常高値を示しておりました。

 

開始後3ヶ月頃よりで食欲が出て、散歩や日常生活が充分にできるようになりました。

 

4ヶ月目に測定した腫瘍マーカーは、BFPが63ng/mlと基準値域内に入り、ⅠCTP 4.6 ng/mlと低下し、新生血管増殖因子のVEGFも762 pg/mlと著しく低下していました。

 

一方、Th1サイトカインのINFγとIL-12はそれぞれ74.4 IU/mlおよび60 pg/mlと著明な活性化が認められ、NK細胞比率と活性化NK細胞比率も良好な値が維持されていました。

 

この患者様の免疫能力はこの2回目の免疫検査以後も良好な免疫能力を維持し続けています。

腫瘍マーカーのBFPとⅠCTPも、6ヶ月目の平成15年4月の検査以後は基準値域内に入り、VEGFも抑制されたままでした。

画像検査では、新免疫療法開始5ヶ月前の平成14年5月から開始から3年3ヶ月後の平成18年1月までの計3年8ヶ月間で、胸水が減量しているものの胸膜腫の大きさに変化は認められていません。


その後、治療開始から6年2か月後(平成20年12月)までの定期的なCT検査では徐々に増大しているものの、大きな変化はないと評価されていましたが、治療開始から6年6か月後(平成21年4月)のCT検査にて、多数の胸膜浸潤が出現し進行と判定されました。


それまでは通常の日常生活は問題なく送ることができていましたが、そのころから痛みが出るようになりました。

同年6月の腫瘍マーカーは、BFPが75ng/ml(基準値75ng/ml以下)、ⅠCTP 5.1 ng/ml(基準値4.5 ng/ml未満)と基準値を超えました。


そして、同年9月初旬から、大学病院にて抗癌剤CDDP+アリムタを施行する方針となりました。

抗癌剤と新免疫療法を併用すると相乗効果が期待できるので、治療を続けるように伝えたのですが、患者様ご本人とご家族の判断で、同月で新免疫療法の治療は終了しました(治療開始から6年11か月後)。


平成23年9月、息子様が検査データを持参して来院し、大学病院にて平成21年10月から抗癌剤CDDP+アリムタを施行しましたが、副作用により1クールで中断してしまったこと、その後、3~4か月間は調子が良かったがさらに進行したとのことでした。

現在は酸素吸入をしながら、在宅医療を受けている状態で、他に治療法が無いので、自費で他の抗癌剤等が行える施設を紹介してほしいと依頼されました。


この患者様は、悪性胸膜中皮腫という進行が早いとされる癌腫にも関わらず、徐々に進行しながらも癌と共存しながら6年以上の間、通常の日常生活を送ることができました。

新免疫療法が有効に働き、進行を遅らせたものと考えられます。

悪性胸膜中皮腫 CT比較画像 新免疫療法によるがん免疫療法

免疫検査の経過および腫瘍マーカーの経過

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